異なる植物どうしをつなぎ合わせる品種改良法の「接ぎ木」と、針金を用いて特定の方向に植物の生長方向を操作する園芸手法の「針金かけ」をものづくり(ファブリケーション)技術において素材のみならず、製造工程および出力された人工物そのものにも持続可能性が求められるため接ぎ木を接合技術として、針金かけを成型技術として扱い、植物を育てながら形状制御を行うことで無電力で動く「からくり」の一体成型を試みた。特に、今回は重力のみを動力源とし、センサシステムやアクチュエータを必要とせずに緩斜面を下る受動歩行機を対象とした。

持続可能な製造業の実現に向け、自然素材で人工物を生産する事例が増えつつある。しかし、素材のみならず製造工程も自然で構成できないだろうかと考え、複数の植物体を1つに繋ぐ接木と植物を人為的に曲げる針金かけに着目した。Graftin’ Craftin’は上記の園芸手法を接合・成型技術として利用することで、木を育てながらからくりを一体成型するファブリケーション技術である。今回、汎用的なリンク機構で成り立ち、無電力で斜面を降る受動歩行機を制作し、歩行実験を通じて15 度の斜面を50cm進むことを確認した。この試みが発展し、将来、植物による機械要素やからくりを実現できれば、3Dプリンタ等のデジタルファブリケーションがものづくりの個人化を促進させているように工業と農業ともに個人化するだろう。傘やドアノブといった大量生産される消耗品の中にもからくりは溢れており、本提案によってそれらを個人が生成・収穫できるような未来が訪れる信じているからである。また、接木による育種改良で良質な果実を採取できるだけでなく、園芸という文化的体験を通じ、独自のビオトープを醸成する多幸感を得ながらファブに取り組める。本提案は自然なパーソナル・ファブリケーションとして大量消費社会との接続を中断させインクルーシブな経済社会へと移行させられると期待し、特に、高価な機械製品などの人工物にアクセスしにくい低所得者層に効果的と考える。

AWARD:4DFF2020 AWARD受賞

論文(JPN):https://sig4dff.org/conference/2020/proceeding/OP06.pdf

Posted by:kazumachiba

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