
本作は古典落語『まんじゅうこわい』をZOOM演劇のようなフォーマットに合わせて演じた作品である。通常のリモート演劇ではZOOMなどのアプリの仕様により、一人複数役を演じることが困難であるうえに、通信における遅延により異口同音で役者の発声を重ねられないためテンポの面で課題があると考えた。そこで、ZOOMのような画面をCG合成で作成し、一人の演者による複数の動画を重畳させることで上記の問題解決に取り組んだ。さらに、落語における上下の振り分け方はZOOMにおいて話者を切り替えるスピーカービューに似ていると感じ、それを逆手にとってZOOMのギャラリービューのように落語の登場人物をパラレルに表示することで新たな表現を模索した。以上を踏まえ、『パラレル落語』シリーズと題し、本作がその一作目になる。
2020.12 オンライン展示「あたらしいふつう展」出展作品